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サイクロデキストランとは…
サイクロデキストランの機能
サイクロデキストラン(CI)の物性
1993年に新しく発見された環状オリゴ糖、サイクロデキストラン(CI)は、安全なBacillus属微生物が生産する酵素によりデキストランまたはデンプンから合成され、7〜17個のグルコースがα-1,6グルコシド結合で環状に連結した環状イソマルトオリゴ糖です。

図は、7個のグルコース重合体CI-7 の構造式と工業的に広く利用されている包接機能を持つグルコースα-1,4グルコシド結合からなる環状体サイクロデキストリン(CD)の7重合体β-CDの構造式です。
CIはCDより環の口径が大きく厚さが薄いたらい状の立体構造を有し、無色、無味、無臭で水溶性が高く、温度に関わらず等量以下の水に溶解し、糖質ながら甘味度はほとんどありません。
構造上末端基を持たないため還元性はなく、化学的に安定であり、加熱や酸、アルカリにも強いという特徴があります。
エンド型デキストラナーゼによりグルコースとイソマルトースにまで分解されます。
サイクロデキストラン(CI)の安全性
CIは、グルコースのみからなる単純な構造であり、同じグルコースのみからなるα-1,6結合を持つデキストランは、代用血漿として、またイソマルトオリゴ糖は、腸内環境改善素材として利用されており、これらの安全性はすでに広く認知されています。
また、産業的に食品や薬品にも広く利用されているサイクロデキストリン(CD)とよく似た環状構造をもつことから、CIも安全性には問題はないものと推定されましたが、各種の安全性試験の実施により、これまでにCIおよびその混合物の安全性は証明されています。
- ラットを用いた急性毒性試験 : CI-7〜9濃度76.8%試験物の10.0g/kg BW単回投与において異常は認められなかった。
- ラットを用いた亜急性毒性試験 : CI-7〜9濃度76.8%試験物の5.0g/kg BW4週間反復投与において異常は認められなかった。
- 復帰突然変異試験 : 細菌における変異原性は認められなかった。
- マウスを用いた12週間反復投与毒性試験 : CI-7〜9濃度14.3%試験物の2.0g/kg BW 12週間反復投与において異常は認められなかった。
- 特定原材料アレルゲン物質定量試験(卵白、牛乳、小麦、そば、落花生) : 全項目が定量限界以下であった。
- ヒトによる4週間反復投与過剰摂取試験 : CI-7〜9濃度15.2%試験物の2.0gおよび4.0g/日において異常は認められなかった。
また、沖縄県内の原料糖工場の糖蜜中、および沖縄県産の黒糖製品の中から、CI-7〜9の存在が確認されており、日本人は古くからCIを含んでいる黒糖を甘味料として、あるいは菓子として食べ続けてきており、これによってもCIが天然物で、無害のものであることが裏付けられています。
サイクロデキストラン(CI)の歯垢抑制機能
CIには、歯垢の原因となるう蝕菌(虫歯菌)による砂糖などからの非水溶性グルカンの合成を強く阻害する作用があることが明らかになっています。歯を失う原因の約90%が虫歯と歯周病と言われており、この第一の原因は歯垢です。虫歯菌などの細菌が、砂糖などからネバネバした非水溶性グルカンを作り、これが歯の表面に付着したのが歯垢です。歯垢1mg中には、1億個もの細菌が住んでいると言われており、虫歯は歯垢の中の細菌が食物の中の糖分を栄養源にして酸を作り、その酸が歯を溶かして起こります。一方、歯周病は、歯垢の中の細菌が出す毒素によって歯肉炎や歯槽骨炎を引き起こす感染症です。我国では、40歳以上の約80%以上に何らかの歯周病の症状が出ているとの報告もあり、患者数からみれば国内で最大の感染病であり、歯を失う最大の原因となっています。また、近年、歯や口腔内の状態が全身的疾患と深く関わっていることが明らかになり、オーラルケア意識が急速に高まってきています。
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐1
S. sobrinus 6715株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたサイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害活性
対照区は1%ショ糖、実験区 Exp 1〜6には、1%ショ糖+各濃度のサイクロデキストラン標品を添加して、 各画分の非水溶性グルカンを定量した。
写真は、firm-adherent 画分*
いずれのサンプルも対照区に比べ、試験管壁への付着は弱く、CI濃度依存的に非水溶性グルカン合成阻害効果が見られる。
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐2
S. mutans MT8148株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたサイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害活性
高濃度(30%)のショ糖存在下で、阻害剤なし(対照区)と各種のサイクロデキストランを阻害剤として、0.5%濃度(CI-7〜9 合計濃度)を添加した群を実験区として37℃、8日間反応後、非水溶性グルカン生成量を測定した
いずれのCIサンプルも対照区に比べ、有意に非水溶性グルカン合成を阻害した。
CI 純度が最も高いサンブルC が、他のサンプルより非水溶性グルカン合成阻害効果が低くなっているのは、低純度側に混在する成分が同阻害効果を高めていると考えられる
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐3
S. sobrinus菌株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたCI-7〜9,CI-mix と糖アルコール類の非水溶性グルカン合成阻害活性
糖アルコール類と比較して、サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果は格段に高い
サイクロデキストランの非う蝕誘発性
サイクロデキストランのミュータンスレンサ球菌による発酵性試験
1% ショ糖液と1% CI 溶液の S. mutans およびS. sobrinus によるう触菌発酵性試験で、2種類のCI サンプルは、いずれもpH降下を示さず、う蝕菌によって資化されないことが認められた
人工口腔装置によるサイクロデキストランの評価試験
人工口腔装置 :
ヒトの口腔モデルとして、う蝕誘発と深い関わりを持つ3つのパラメーターを同時に測定できる装置
人工口腔装置によるサイクロデキストランのう蝕抑制試験結果例

人工口腔装置による評価系で、 S. mutans による人工バイオフィルム形成、バイオフィルム下pH、エナメル質脱灰に及ぼす影響を調べた結果、対照の1% ショ糖液と比べて、2種類のCI サンプルは、いずれも人工バイオフィルム形成量(非水溶性グルカン生成量)、エナメル質脱灰度(エナメル硬度変化)を有意に抑制し、バイオフ
ィルム下pH の低下も遅延させた。
サイクロデキストラン(CI)の包接機能
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐1
最も濃度の低い10%CI-Mixでも褪色を50%近く抑制し、50%CI-Mixでは30時間経過後もほとんど青色が褪色しなかった。CI がビクトリアブルーBを有効に包接したと考えられる
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐2
50%CI-Mix、50%CI-10 rich には、CI-10 がそれぞれ 0.7%,6.9%含まれるが、CI-10 の含有量の高いCI-10 rich サンプルで可溶化効果が顕著である
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐3
50%CI-Mix、10%CI-10 rich には、 CI-10 がそれぞれ 0.7%,1.4%含まれるが、
CI-10 の少ないCI-Mixの方が可溶化効果が大きく、これにβ-CDを加えると効果が倍増した
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐4
室温では1.8%しか水に溶解しないβ-CD にCI-Mixを添加するとβ-CD の溶解度が上る
ことが確認された。CI-10 rich によるβ-CD の可溶化効果も認められたが、CI-Mix サンプルでより強い効果が認められた。CIをCDと共に用いて可溶性の包接剤として利用できる可能性が示唆された
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