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サイクロデキストランの機能性情報
サイクロデキストラン(CI) には、歯垢の原因となるう蝕菌(虫歯菌)によるショ糖からの非水溶性グルカンの合成を強く阻害する作用があることが明らかになっており、また、同じ環状構造を持つサイクロデキストリン(CD)と同様に高い包接能があることが判ってきました。
代表的な虫歯菌であるミュータンスレンサ球菌のグルカン合成酵素(GTF:グルコシルトランスフェラーゼ)を用いた試験管内の試験で、CI が歯垢の元になる非水溶性グルカンの合成を強く阻害することが判っており、これまでの研究結果から、ショ糖を含む食品においても、低濃度のCI 添加によって、かなりの虫歯低減効果が期待されています。
また、CI はCDに比べて環の口径が大きく、特に高分子のCI-10には高い包接能があることが確認されています。 CI は水溶性が非常に高いため、CDよりも高濃度で使用することが可能です。低価格のCI ミックス(CI-7〜9を中心とした低純度CI 素材)の安定化・可溶化剤としての利用も期待されています。
サイクロデキストランの虫歯抑制機能
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐1
S. sobrinus 6715株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたサイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害活性
対照区は1%ショ糖、実験区 Exp 1〜6には、1%ショ糖+各濃度のサイクロデキストラン標品を添加して、 各画分の非水溶性グルカンを定量した。
写真は、firm-adherent 画分*
いずれのサンプルも対照区に比べ、試験管壁への付着は弱く、CI濃度依存的に非水溶性グルカン合成阻害効果が見られる。
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐2
S. mutans MT8148株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたサイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害活性
高濃度(30%)のショ糖存在下で、阻害剤なし(対照区)と各種のサイクロデキストランを阻害剤として、0.5%濃度(CI-7〜9 合計濃度)を添加した群を実験区として37℃、8日間反応後、非水溶性グルカン生成量を測定した
いずれのCIサンプルも対照区に比べ、有意に非水溶性グルカン合成を阻害した。
CI 純度が最も高いサンブルC が、他のサンプルより非水溶性グルカン合成阻害効果が低くなっているのは、低純度側に混在する成分が同阻害効果を高めていると考えられる
各種サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果‐3
S. sobrinus菌株の粗GTF(グルカン合成酵素)を用いたCI-7〜9,CI-mix と糖アルコール類の非水溶性グルカン合成阻害活性

糖アルコール類と比較して、サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果は格段に高い
サイクロデキストランの非う蝕誘発性
サイクロデキストランのミュータンスレンサ球菌による発酵性試験
1% ショ糖液と1% CI 溶液の S. mutans およびS. sobrinus によるう触菌発酵性試験で、2種類のCI サンプルは、いずれもpH降下を示さず、う蝕菌によって資化されないことが認められた
人工口腔装置によるサイクロデキストランの評価試験
人工口腔装置 : ヒトの口腔モデルとして、う蝕誘発と深い関わりを持つ3つのパラメーターを同時に測定できる装置
人工口腔装置によるサイクロデキストランのう蝕抑制試験結果例

人工口腔装置による評価系で、 S. mutans による人工バイオフィルム形成、バイオフィルム下pH、エナメル質脱灰に及ぼす影響を調べた結果、対照の1% ショ糖液と比べて、2種類のCI サンプルは、いずれも人工バイオフィルム形成量(非水溶性グルカン生成量)、エナメル質脱灰度(エナメル硬度変化)を有意に抑制し、バイオフ ィルム下pH の低下も遅延させた。
サイクロデキストランの包接機能
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐1
最も濃度の低い10%CI-Mixでも褪色を50%近く抑制し、50%CI-Mixでは30時間経過後もほとんど青色が褪色しなかった。CI がビクトリアブルーBを有効に包接したと考えられる
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐2
50%CI-Mix、50%CI-10 rich には、CI-10 がそれぞれ 0.7%,6.9%含まれるが、CI-10 の含有量の高いCI-10 rich サンプルで可溶化効果が顕著である
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐3
50%CI-Mix、10%CI-10 rich には、 CI-10 がそれぞれ 0.7%,1.4%含まれるが、 CI-10 の少ないCI-Mixの方が可溶化効果が大きく、これにβ-CDを加えると効果が倍増した
サイクロデキストランによる 各種物質の包接試験‐4
室温では1.8%しか水に溶解しないβ-CD にCI-Mixを添加するとβ-CD の溶解度が上る ことが確認された。CI-10 rich によるβ-CD の可溶化効果も認められたが、CI-Mix サンプルでより強い効果が認められた。CIをCDと共に用いて可溶性の包接剤として利用できる可能性が示唆された

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